売却編

借地権を売却したいときは

借地権の売却時、まずは何から?

①借地人から地主へ挨拶をする。
②地主に売却の意思や購入の意思が無いか確認する。
③地主へ今後の手続きや費用について確認する。

①借地人から地主へ挨拶する。

稀に、不動産屋に任せてしまう方がいらっしゃいます。
「地主との関係が煩雑だ」
「代も変わって関係が希薄」
「地主に売却することを言うと、足元を見られてしまうかもしれない。
購入者が決まったら言おう。」

借地人からの地主への挨拶は、絶対に欠かしてはなりません。
長期間の貸主・借主との信頼関係がありますから、
「今までお世話になりました。」という意味も込めて、
借地人から直接挨拶をすることが礼儀です。

これを欠かしてしまうと、地主は面白くありません。
特に近年は人間関係(特に対面の)が希薄な傾向にありますから、
こういったことを軽んじてしまう方が結構いらっしゃいます。

譲渡には地主の承諾が必要です。
最後まで良好な関係を継続するようにしましょう。

②地主に売却の意思や購入の意思が無いか確認する。

借地を解消したがっている地主は多いです。
そのため、地主に購入の意思が無いかどうか、まず確認しましょう。
ただ、地主が購入したがっている場合、
安く交渉される可能性があるので厄介です。

もしくは、地主が一緒に売却するケースもあります。
この場合、底地と借地を不可分一体として、
同一の買主に売却する
ことになります。
買主にとっては所有権と同じですので、
借地権、底地をそれぞれ個別に売却するよりも、
高く成約できます。

この時に問題となるのが売却代金の配分です。
路線価の借地権割合は根拠となりますが、
それにしなければならない、という訳ではありません。

このあたりは交渉となります。
その時の注意点です。
地主側に不動産会社が付いていることが多いですが、
その不動産会社に交渉を依頼してはなりません。

地主の借地を管理している不動産は、
間違いなく地主側に寄ります。
その不動産会社にとっては地主が大切なお客様ですから、
当然ですね。

また、地主と直接交渉することも、揉める原因となります。
過去のことを色々持ち出して、感情的になったりすると、
交渉が上手くいかなくなります。

そのため、地主との交渉事は不動産会社を入れた方が良いです。
ただ、借地に詳しい不動産会社の営業は多くありません。
必ず何社か話を聞いて、知識があって信頼できる営業を選びましょう。

③地主へ今後の手続きや費用について確認する。

まず確認すべきは、各種承諾料の確認です。
承諾料の相場は別ブログをご参照ください。

借地権 承諾料の相場は?

その他、細かい点を記載します。

・賃貸借契約の内容
・譲渡承諾書の内容
・測量図の有無、作成可否
・金融機関の承諾書の対応可否
・地代や更新料の確認
・建売業者の場合、分割はOKか。
・転売時の承諾料〇年免責はOKか。
・共同住宅の建築はOKか。 等

ケースによって色々あります。
これは、経験豊富な担当者でないと、
ケアできません。

借地権の売却は、地主の意向が肝です。
なるべく最初の段階で、漏れのないように話を詰めましょう。

借地権の相場とは

例えば、借地権割合が70%のエリアの場合、
所有権価格の相場の70%で売却できるかというと、そうではありません。

個別に売却した場合、
「底地」+「借地権」=100%
にはならない
のです。

なぜなら、どちらも流通性が下がります。
借地権の場合は、以下のデメリットがあります。

・融資が利用しづらい。
 (借地の残存期間しか組めない場合もある)
・地代や承諾料等の費用がかかる。
・地主との手続きが煩雑。

そのため、購入者が相対的に少なくなります。
つまり、市場性が下がります。
東京都23区の場合、
大体10~15%程度下がるイメージを持っていただければ十分かと思います。
(地域によっては全く取引慣行が無い場合があります。
この場合は相当安くしないと売れません)

ちなみに、底地のみの場合は更に市場性が下がります。
底地を購入するメリットがある人は、借地人しかいません。
収益性が低いうえに、流動性も低く、
そして相続時にはそれなりに課税されます。
つまり、よほど安くないと、買い手がいないのです。
そのため、「底地のみ」の評価は著しく低くなります。

地主が国の場合

土地所有者が国の場合は、
底地と借地を同時売却するのが良いでしょう。

国はよほど特殊な事情が無い限りは、
売却に同意するはずです。
財務省に照会すれば、
指定の不動産業者を紹介してくれます。
そこの不動産業者に相談すれば、
数カ月で価格を算出してくれます。

価格は概ね公示価格水準×底地割合です。
購入時に必ず境界確定を行っていますので、
言えば測量図ももらえると思います。

このようにすれば、特に所有権の場合と変わらない状態で、
売却手続きを進めることができます。
細かい売買契約書の内容や段取りについては、
不動産業者に相談しましょう。

まとめ


経験の深い担当者を見つけることが先決!!

借地権の売却は特殊です。
不動産業者であれば誰でも分かる、
というものでもありません。

大手不動産会社でも、
借地に詳しい担当者は5%以下だと思います。
それほどまでに、分かっている人は少ない。

地主との折衝がほぼ確実にありますので、
知識・経験のある担当者でないと、
不利益が生じる可能性があります。
プロがしっかりしないと、うまくいきません。

なので、複数の不動産会社から話を聞いて、
詳しい担当者に依頼するのが良いでしょう。
はじめから、「借地に詳しい担当者を」と、
依頼するのが良いと思います。

このブログに記載のあるようなことをしっかりと
説明できる担当者を見つけましょう。

借地についてはこれからも発信していきたいと思います。
少しでも参考にしていただけたら嬉しいです。

ではまた。