不動産買取になるケース
不動産買取とは、不動産業者が転売目的で購入するケースを指します。
不動産業者は物件を仕入れ、商品として加工して、転売します。
仕入れ時、売却時には経費がかかり、当然事業なので利益も発生します。
そのため、『市場価格よりも安くなるのでは?』と思われがちですが、それはケースバイケースです。
まず、不動産買取として適したケースとはどんな場合でしょうか。
①室内の状況が傷んでいる場合。
②即現金化が必要な場合。
③土地が広く、一宅地として過大な場合。等
①の場合、エンドユーザー向けではなかなか売れません。
エンドユーザーは印象が第一ですから、印象の悪い物件は極めて売りづらいのです。
②は主に資金繰りが理由の場合が多いです。
債務返済や、買い替え資金でどうしても必要な場合等がそれにあたります。
不動産業者の場合、エンドユーザーと異なり「事業として合えば買う」わけなので、判断が早く、金額をちゃんと出してくれます。
③の場合は、土地が広すぎる場合です。
例えば20坪程度の土地が売れやすい地域で、100坪の土地はなかなか売れません。
金額が大きすぎて、買える人がいないためです。
一般個人の方は、不動産を分割して売却してしまうと宅建業に該当するため、できません。そのため、買い手のメインターゲットは不動産業者となります。
①~③に該当せず、状態の良いマンションの一室や一戸建は、基本的に業者買取にする必要がありません。
エンドユーザー向けに時間をかけて売却した方が、良い結果が出やすいからです。
不動産会社の口車に乗せられないように注意しましょう。
高く売却するためには
結論、一般媒介で2~3社の仲介会社に依頼することが最も良い方法です。
(参考)
専属専任媒介・専任媒介・・・1社にしか依頼できない委任形態
一般媒介・・・複数社に依頼できる委任形態
不動産仲介会社とは、直接買取を行わず、買取業者を探してくる立場の会社のことです。
この場合、仲介手数料というフィーが発生しますが、不動産業界に詳しくない個人の方が買取業者を直接探すことは困難ですので、必要経費として見ておきましょう。
不動産仲介会社は、なるべく専属専任・専任で委任を取りに来ます。
なぜなら、それを取った時点で両手取引(売主買主双方から手数料をもらう)がほぼ確定するからです。
そのために、色んなことを言ってきます。
『情報が出回ると価格が落ちる』『みんな依頼する会社は一緒だから窓口を増やしてもデメリットしかない』等。
確かに一理ありますが、それは100%信頼できる仲介会社であることが前提となります。
だって、1社しか仲介会社がいなければ、その価格が高いのか安いのか、分かりませんよね。
いくらその窓口の仲介会社が『100社あたって1番条件が良かったです!』と言ったところで、その真偽は分かりません。
なので、2~3社に依頼して競合させるべきです。
そうすれば、各社勝ちにきますから、できるだけ金額の高い業者を探すために躍起になるわけです。
『相場があるからどこに売っても同じ』ではありません。
買取業者は商品を買わなければならないので、薄利でも買わなければならないケースがあります。
また、業者によって加工の仕方が違ったり、建築費等の原価に差があったり、出口の顧客を抱えていたり、と様々な理由で金額に差がでます。
経験上、買取業者100社くらいあたれば、1~2社飛び抜けた金額が出るものです。
売るには高い方が良いに決まっていますから、そこへ誘導するためには競合させることが一番手っ取り早いと言えます。
注意するポイント
①あまり多くの会社に任せすぎないこと。
②不動産仲介会社に即決を迫られてもちゃんとかわすこと。
③そうはいっても安心感のある担当者に任せること。
①あまり多くの会社に任せすぎないこと。
5社も10社も仲介会社に任せると、情報が出回り過ぎます。
買取業者は、何社からも同じ情報が入ると、『そうとう情報が撒かれているな。どうせ買えなそうだから、検討するのを止めておこう』という心理になります。
買える物件に集中したいので、買えない可能性が高い物件をわざわざ頑張りませんよね。
結果、あまり良い価格が出なくなります。
趣旨は【競合させること】ですから、2~3社で十分なのです。
②不動産仲介会社に即決を迫られてもちゃんとかわすこと。
2~3社競合させると、各社自分のところで成約したいですから、色々なことを言ってきます。
『ここで即決してもらえれば、この金額まで出させます!』
『月内に入れるためにはここで決断してもらう必要があります。これを逃すともうこの金額は出ないかもしれません。』
『ここで決めてもらえば仲介手数料半額で良いです!』などです。
でも無視しても結局この金額は出るんです。(笑)
全部結論を出させてから、売り手側で冷静に考えれば良いのです。
仲介会社のトークに翻弄されてはいけません。
ただし、決算上の都合で高値が出ているケースはもちろんありますから、その点は気にした方が良いかもしれません。
また、そういったやり取りが面倒な方は、最初から「入札」にしてしまうのが良いかもしれませんね。
私はあまりお勧めしませんが、そういった交通整理がラクになります。
③そうはいっても安心感のある担当者に任せること。
金額が一番大事ですが、取引を円滑に進めるためには、やはり担当者も大事です。
マンション一室の売買ではあまり気にすることはないと思いますが、土地・戸建・マンション一棟・ビルなどでは色々なことが起こります。
境界確定や越境解消、私道の通行掘削承諾、建物解体、税務等、段取りを間違えると取引がうまくいかなかったり、無用のトラブルが起こったり、税務の見落としがあり想定外の出費が出たりと、経験豊富で丁寧な担当者でないと対応できないようなことも結構あるのです。
これは、大手だからと言って安心できません。
大手の不動産・税務知識のレベルは必ずしも高いものではなく、ものを知らない所長なんてたくさんいます。
ここは完全に担当者次第、といえます。
なので、金額が僅差であれば、信頼できる担当者に任せるのが吉です。
頼りない担当者に任せてトラブルになったら本末転倒ですからね。担当者は大事です。
まとめ
・業者買取は、仲介会社2~3社に依頼するのが良い。
・信頼できる担当者に任せるべき。
これが結論です。
不動産仲介会社の営業トークに翻弄されないようにしましょう。
本当、皆色々言ってきます。(笑)
信頼できる営業マンってほんの一握りです。
もし出会えたら、将来何かあった時もその人にお願いするのが良いでしょう。
最近ではコンプライアンス重視の風潮で減りましたが、よく「二回転」「三回転」とか言ったもので、これは不動産仲介会社が、買取業者に安く買わせ、更にそれを業者に買わせ、最終的にエンドユーザーに売却し、そのすべての不動産取引でフィーを得る、といったものです。
「売主⇒業者⇒業者⇒エンドユーザー」というわけです。
最初の売主が売却した金額が不当に安くなければこれは成り立ちません。
これって犯罪ですよね。。。
信じられないことに、大手でも割と最近まで違和感無く行われていましたし、まだやっている人もいると思います。
大手の信用を良いことに、情報弱者を騙す許し難い行為です。
皆さんは騙されないように、ベストな選択をしましょう。
少しでも役に立てば嬉しいです。
ではまた。