先日、日本国内に住所を持たないタイ人の方が所有する国内の不動産売却をしました。
滅多に無いことでしたので、簡単にまとめておきます。
所有権移転登記に必要な書類
■「宣誓供述書(タイ語)+パスポートの写し」を綴じたものに認証を受けたもの+日本語訳
■「所有権移転登記委任状(タイ語)+サイン証明」を綴じたものに認証を受けたもの+日本語訳
■認証を受けたタビエンバーン+日本語訳
注1
「認証」とは、私署証書(作成者の署名等のある私文書)について、
本人の意思に基づいて作成されたことを、公証人が証明するものです。
タイでは、公証資格を持った弁護士が認証を行います。
注2
「サイン証明」は、タイ国政府が発行していませんので、公証資格を持った弁護士による認証を受ける必要があります。
注3
パスポートは、本人の氏名並びに有効期間の記載及び写真の表示のあるページ。
注4
訳文には翻訳者の署名捺印が必要。
注5
タビエンバーンとはタイの「住居登録証」のことです。
冊子になっており、家ごとに発行されます。
・登記識別情報通知
・IDカード
・評価証明書
・除票
・所有権移転登記原因証明情報
・上申書
源泉所得税が必要
非居住者の不動産売却については、売買代金等の10.21%が源泉徴収されます。
納税義務者は買主となりますので、売買の際にこの分を控除しておかないと大トラブルになります。
なお、以下の場合には源泉徴収は不要です。
・売買代金が1億円以下
(固都税の清算金等を含むので、金額には要注意)
・個人が自己又は親族居住の用に供するために取得した不動産
つまり、買主が事業目的の場合等には、金額にかかわらず、源泉徴収が必要です。
買主は、支払日の翌月10日までに源泉徴収税額を納付します。
売主は、確定申告の際に、源泉徴収された金額を証する書類の提出を求められますので、
買主から「納付書」又は「支払調書」の写しをもらっておきましょう。
また、売買代金の領収書には、
「源泉所得税及び復興特別所得税相当額:金××円の控除額を含んだ額」
と注釈をつけることを忘れずに。
手付金、残代金、固都税清算金等、すべて同様です。
まとめ
タイ人の所有権移転手続きはなかなか大変でした。
タイ語の翻訳者はマストです。
ケースにより書類が異なる場合もあると思いますので、
司法書士及び翻訳者とよく連携を取り、入念に確認することが肝要です。
イレギュラーに備え、相応の準備期間も確保して手続きを進めましょう。